日本で唯一の技術を搭載した、吸引式ハンドドライヤー「CIRCULA(サーキュラ)」。20年以上前から吸引式ハンドドライヤーの開発にこだわり続けている、株式会社Air Laboの製品です。
今回、CIRCULAの開発秘話やハンドドライヤー業界への想いなどを、代表取締役社長である淺見にインタビューしました。
吸引式ハンドドライヤーの開発に至るまで
ーーまずは、吸引式ハンドドライヤーの開発に至った経緯を教えてください。
淺見:以前から、ハンドドライヤーの衛生面には課題があるのではないかと考えていました。
そんなときに「業務用の吸引式ハンドドライヤーを、一般の施設向けに開発しないか?」と話をいただいたことがきっかけです。
また、ものづくりをしてみたいと思っていたこともあり、2014年に株式会社Air Laboを創業しました。
ーーハンドドライヤーの課題には何があると考えていましたか?
淺見:私が解決したかった課題は3点です。
- 水滴や風が本体から漏れるので、感染リスクが低いと言い難い
- 乾燥時の風量が足りないのに稼働音が大きい
- メンテナンス性が低く清掃しにくい
課題1.水滴や風が本体から漏れるので、感染リスクが低いと言い難い
ーー水滴や風が本体から漏れることでどんなリスクがあるのでしょうか?
淺見:ハンドドライヤーの本体から飛沫する水滴とともに、菌やウイルスが飛び散ってしまいます。また風が漏れることで、設置場所の空気が撹拌(かくはん)され、菌やウイルスなどを含むエアロゾルが舞い上がります。
2020年に、ハンドドライヤーはエアロゾルを拡散させると厚生労働省が提言しました。
・ハンドドライヤーは、空気中にエアロゾルを拡散することが報告されている
引用:接客業務における新型コロナウイルス感染予防・対策マニュアル│厚生労働省
さらに2022年3月には、国立感染症研究所が新型コロナウイルスの感染経路の1つにエアロゾルがあると明言しています。
SARS-CoV-2は、感染者の鼻や口から放出される感染性ウイルスを含む粒子に、感受性者が曝露されることで感染する。
その経路は主に3つあり、①空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込むこと(エアロゾル感染)
引用:国立感染症研究所
開発当時は、このような考えが認知されていない世の中でした。
ですが、「感染リスクを最小限にするためには、エアロゾルがハンドドライヤーから漏れない工夫をする必要がある。」そう考えていました。
課題2.乾燥時の風量が足りないのに稼働音が大きい
ーー2つ目の課題についてお聞かせください。
淺見:当時の製品は、乾燥に時間がかかるうえモーターの稼働音が大きめでした。
感染リスクを抑えるためには、スピーディーな乾燥が重要です。これは、菌が繁殖する条件である栄養(汚れ)・温度・水分の3つを揃えないためです。
そのため、素早く手を乾かせる風量を確保しつつ、騒音と判断されない音量の実現も課題でした。
課題3.メンテナンス性が低く清掃しにくい
ーー3つ目の課題についても伺えますでしょうか?
淺見:清掃のしにくさには、2つの理由があると考えていました。
- 水を貯めるタンクやフィルターを取り出すまでの工数が多い
- 専用の工具がないと簡単に解体できない
衛生的に利用するには本体のメンテナンスが重要なため、メンテナンス担当者が気軽に清掃できる構造にする必要がありました。
唯一の吸引式ハンドドライヤー「CIRCULA」への4つのこだわり
ーーCIRCULAを開発するにあたってのこだわりをお聞かせいただけますか?
淺見:4つの内容にこだわって開発しました。
- 感染リスクをより抑えられる吸引式にした
- 性能が高いブラシレスモーターへ変更した
- ボディに抗菌素材や銅板を取り入れた
- メンテナンスしやすい一体型のボディを採用した
こだわり1.感染リスクをより抑えられる吸引式にした
ーー業務用のハンドドライヤーよりも、さらに高い吸引力を追求されたのでしょうか?
淺見:はい。感染リスクを抑えるために、空気中に浮遊する粒子(エアロゾル)の飛散を抑制したいと考えていたからです。
結果として検証動画のように、従来式に比べ飛沫を99.7%抑制することに成功しました。
菌・ウイルスの拡散を最小限に抑えられるので、利用者の感染リスクを抑えられます。
導入いただいたお客様からは「吹付け式のハンドドライヤーとは違い、吸引式は空気が漏れないことを実感できた」という声が届きました。
こだわり2.性能が高いブラシレスモーターへ変更した
ーーハンドドライヤーにとって、モーターは重要な部品なのでしょうか?
淺見:モーターは、吸引・送風の両者を担う重要な部品です。
そのため、海外製だったものを、世界的に信頼されているモーターメーカー「日本電産株式会社」のブラシレスモーターへ変更しました。
ブラシレスモーターには、ハイパワーで稼働できるうえ速度制御が安定し、稼働音を抑えられる特徴があります。CIRCULAの騒音値(db=デシベル)を測定したところ、電車内と同じ84.4dbでした。
従来式のハンドドライヤーは、電車走行中のガード下と同じ騒音値(100.2db)です。吸引力をアップしながら約12秒で乾燥できる風量を確保し、稼働音を抑えることに成功しました。
こだわり3.ボディに抗菌素材や銅板を取り入れた
ーーハンドドライヤーの本体にはどのような工夫がされているのでしょうか?
淺見:ボディには、高機能繊維や化成品などを扱う「帝人株式会社」が開発した樹脂を使用しています。抗菌素材なので、ハンドドライヤーの表面における菌の繁殖を抑制できます。
また、銅の抗菌加工を活用していることもこだわりです。本体に銅板加工をしたりフィルターに銅を施したりすることで、ハンドドライヤー内部で菌の繁殖を抑えています。
さらに空気清浄機によく用いられる「HEPAフィルターを」採用したことで、表面だけでなく内部での抗菌対策を強化し、排出される空気にもこだわっています。
抗菌にこだわったことで、ハンドドライヤーの利用者が安心できるだけでなく、メンテナンスをおこなうスタッフも安全に業務をおこなえるようになりました。
こだわり4.メンテナンスしやすい一体型のボディを採用した
ーーそもそも、非接触で使えるハンドドライヤーは清潔だと思っていましたが、そうではないのでしょうか?
淺見:そうですね。ハンドドライヤーは手を触れないから清潔だと思いがちです。でも、手から吹き飛ばした水滴が本体に付着すれば菌が繁殖する原因となりますし、乾燥室に髪の毛やホコリが溜まります。
そのため、どのハンドドライヤーでもこまめなメンテナンスが必要です。
CIRCULAは、デザイナーの生駒 崇光(いこま たかみつ)さんに協力いただき、一体型のボディを考えました。細かいパーツにわかれていないので、丸みを帯びた独特の形が特徴です。
特別な工具を必要とせず、フロントを開けるだけでだれでも簡単にメンテナンスができるようにしました。実際にメンテナンスをおこなう現場の方からは「トラブルはなくスムーズに清掃をおこなえる」と安心いただけました。
今後のハンドドライヤー業界への想い
ーー最後に今後についてお聞かせください。
淺見:CIRCULAの魅力を伝えることで、一人でも多くの方にハンドドライヤーを安心して使っていただけるようにしたいです。
弊社をふくめ、世の中にはたくさんのハンドドライヤーが開発されています。もちろんどの製品も、独自の研究や工夫がされ、最新の技術を搭載したハンドドライヤーです。
ですが、利用者にとって安全といえる製品はどれだけあるのでしょうか。
私たちは20年以上前から「これで本当に利用者の安全を守れるのか?」「もっと改善できる点はないのか?」と問い続けてきました。
そんな試行錯誤の結果が、CIRCULAには詰まっています。そのため「より多くのお客様にCIRCULAを使っていただきたい」「違いを体感してほしい」と私たちは考えています。
今後もCIRCULAをより多くのお客様が認知し使っていただけるよう、マーケティングにも力を入れていきたいです。
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